【Remastered】本能寺で待ってみる

わからん都

Original Article by: わからん都

ZAZEN BOYSというバンドの「Honnouji」という曲をご存知でしょうか。

ZAZEN BOYS 4thアルバム「ZAZEN BOYS 4」に収録されているこの曲。

変拍子のリズム、かっこいいギターリフ、かなり複雑なドラム、向井秀徳の渋い声など、この曲の魅力はたくさんありますが、しかし私はこの曲についてひとつ気になることがあるのです。

それは、繰り返される「本能寺で待ってる」という歌詞。


初聴のときは「ああ、本能寺で待ってるんだな」と思いますが、冷静に考えたら説明が全然足りないことに気づきます。なぜ本能寺で待ってるのか、誰を(何を)待ってるのか、そもそも誰が本能寺で待っているのかなど、考え出すとどんどんわからなくなっていきます。

理解したい。どうにかしてこの歌詞を理解したい。完全にじゃなくても、少しだけでもいいから理解したい。

ということで、

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本能寺で待ってみます。

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ここ本能寺は、創設年が応永22年(1415年)、京都府京都市中京区に位置するいかにも「歴史ある寺」の雰囲気を醸し出す寺。言わずもがな、本能寺の変が起こり、織田信長が明智光秀に襲撃された場所です。

ただし、本能寺は本能寺の変が起こったおよそ200年後(1591年)に豊臣秀吉の命によって移転されており、当時の本能寺はこの場所ではなかったそうです。

「Honnouji」がおそらく本能寺の変に何かしら関係している曲であろうことから、本能寺の変が起きた旧本能寺跡で待ってみてもいいかもしれませんが、どちらにせよ「本能寺で待つ」ことには違いないため、アクセスが良い新しい方の本能寺で待つことにします。

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ちなみに、本能寺には専属のVtuberがいます。和洋折衷の衣装はよく見かけますが、和とサイバーの折衷は初めて見るのでなかなか面白いですね。この人はずっと「本堂内は撮影禁止です」としか言っていませんでした。要るか?

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天気もとても良く、絶好の本能寺待ち日和というところ。

そういえば、今まで「本能寺で待ってる」ときの天気について考えたことがなかったことに気づきました。どんな天候なんでしょうか。なんとなく快晴や晴れではなくて、曇りにときどき雨が降る、降水確率20%くらいの天気な気がしてきました。よし、さっそく「Honnouji」への解像度が上がった。

というわけで、これからはずっと待ちます。待つぞ!

…………

…………

…………(10分ほど経過)

…………

…………めっちゃ不安。

ものすごく不安です。何がというと、記事の内容がどうなるかが。

「本能寺で待つ」という、ただでさえ受動的な記事であるのに加えて、平日の昼間なので本能寺に訪れる人も少なく、特にイベントが起こらなさそうなのがとにかく恐ろしいのです。

待っている時は、自分のこの行動がいまシークバーの何割まで来ているのか全くわからないのです。このまま何も起こらなかったら記事にならないのではないかという恐怖に近い不安

しかし考え方を変えてみれば、「本能寺で待ってる」ときの感情はもしかしたらこれに近いのかもしれないように思えてきました。自分が待っているその人が、本当に本能寺に現れるのかという不安であったり、集合時刻を過ぎてもまだ現れないときの焦燥。そんな気がしてきました。

まだ待ちます。



…………

…………

…………そういえば、「Honnouji」の歌詞って全部ちゃんと見たことなかったな。見てみよう…….

あ!

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本能寺で待ってるの、たぶん夜だ!

今さらこのことに気づきました。どうしよう。昼間に待つのもなんか違う気がする……。

ということで、一度本能寺から離れて、夕方くらいになってからまた来たいと思います。

夕方になるまで、町を散策しました。

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本能寺の近くにかなり重々しい雰囲気の書店がありました。その立地条件もあってか、店内には仏教関係の本しか置いていなかったです。店内はものすごく静かで重々しい雰囲気があり、気温がここだけ5度くらい下がっているように感じました。自分の存在が場違いな気がして、あらゆるタブーを順に犯しているような感覚になりました。あと、ずっと店内で徹子の部屋の音声が流れていて面白かったです。

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人生で初めて松屋に行きました。これで600円って安すぎる。14時くらいに店内にいたのですが、客は僕のほかに、大学生一人とサラリーマンが数人でした。彼らはそれぞれ動画を見たり、本を読んでたりしてて、平日の昼下がりの松屋って平和なんだなと思いました。冷凍都市の温かい部分。

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交通弱者って言うんだ。


…..気づけば夕方になってきたので、本能寺に戻ります。

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戻ってきました。それでは待ちます。

…………





…………

…………そうだ、ここでちょっと余談なんですけど。

これはラバーガールという芸人のZAZEN BOYSの歌詞は泣けるという内容のコントなのですが、その中で「Honnouji」の歌詞について言及される部分(1分あたりから)があります。

この動画では、「本能寺で待ってる」という歌詞について「待ってても全然来ない切なさを表現しており、失恋について歌っている。自分の昔の体験に重ね合わせて聴くから感動する」と語っています。

この動画について、Matsuri Studio(ZAZEN BOYSのレーベル)の公式Twitterがこのような反応をしていました。

このアカウントはちょくちょく向井秀徳本人がツイートしており、このツイートもおそらく向井秀徳がツイートしたものであると推測できるので、この解釈はもしかしたらある程度の説得力を持つのかもしれません。


ただ、動画では「Honnnouji」の他に「ポテトサラダ」「泥沼」の歌詞についても言及しており、向井秀徳が具体的にどの歌詞の解釈について「あながち間違っていない」としたのかが不明瞭であることに加え、向井秀徳というかなりエキセントリックな人物がこの内容を発信していることも含めて考慮すべきであると思います。

さて、この解釈と先ほど僕が感じたことはある程度リンクするものがあると思います。というのも、動画では「本能寺で待ってる」ときの心情について「待ってても全然来ない切なさを表現している」と解釈していますが、僕は本能寺で待っているとき「このまま何も起こらなかったら記事にならないのではないかという恐怖に近い不安」を感じています。

その感情の成因こそ違うものの、かなり近いことを言っているのではないでしょうか。もし動画の解釈が向井秀徳から正しいとされたとすると、本能寺で待つという行為は「Honnouji」を解釈する上で有効である証左になると思います(もちろん、向井秀徳が正しいとする解釈が唯一解になると僕は考えておらず、あくまで1つの有力な解釈として存在するという立場でこれを書いています)。

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さて、まだまだ待ちます。

…………

…………

…………何も起こらない

…………

…………

…………暇だ

…………

…………

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本当に何も起こらなくて退屈すぎたので、ミッション・インポッシブルを見始めてしまいました。

アマプラでの配信終了があと1日に迫っていたので……。責めるなら僕じゃなくてちょうど悪いタイミングで配信が終了するミッション・インポッシブルと、何も起こらなさすぎる環境が悪いのです。

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……そうこうしているうちに、気づけば本能寺の営業終了時刻である17時になってしまっていました。できれば日没くらいまでは待ちたかったのですが、日没時刻が19:30だったのでここで終了ということにします。

さて、本能寺で待ってみた感想ですが……結局よくわからなかったです。想定していたよりも本能寺で何も起こらず(強いて言うなら蚊に刺されたくらい)、記事が書けるか、締切に間に合うかがただ不安だっただけだからです。本能寺ではおよそ3時間ほど待ったのですが、それでもこの文量であることを察していただければと思います。


でも、「本能寺で待ってる」ときの心境は恐怖に近い不安や、切なさとかなんだろうなあと感じました。それ以外はなにもわかりません。まあ、少しだけでも「Honnouji」への理解が深まったような気がするので良かったと思います!

え!?それだけ!?今週のWater Walkの更新それだけ!?!?


それだけです。毎週まともな記事が上がると思うなよ。

それでは。

Original Article:本能寺で待ってみる|Water Walk

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